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建物寿命について
2025年08月05日

築年の経過した建物を鑑定評価するケースが多々あります。
一般に木造の中古住宅であれば20年から25年経過すれば市場価値は無いとしゼロ査定とする場合が多いものです。
実際の売買においても、中古建物の取壊しを前提として、更地としての価格から、建物の取壊費用を引いた価格を売買価格としたものが散見されます。
日本の住宅の寿命は、欧米諸国と比較すると短いことは良く知られていることと思います。
理由としては、戦後の住宅不足時に建築されたことに加えて、高度経済成長期に建築された多くのものは、居住空間やエネルギー消費効率の低さや、耐震性が不十分でない点等が挙げられます。
また、不動産業者でも、建物付きであっても土地価格に偏重して評価する実情があることにもよると思われます。
法定耐用年数が、実耐用年数よりも短期化である点も挙げられます。
簿価ベースと建物の実耐用年数の乖離が大きくなっていると思えます。
建築物の建替えは、大量の建設廃棄物を発生させることとなり、経済的な損失もありますが、環境問題に対しても大きな問題となります。
建築物の長寿命化は、計画から施工、維持管理までの全体を通じて行う必要がありますが、材質、施工の質の向上を図り実現させることになります。
建物の不動産鑑定においても、取壊すことが最善の使用方法と判断される場合もありますが、耐用年数の判定においても、市場価値を適正に判定し、維持管理の状態、補修等の実施状況等を適切に判定し、評価に反映させることが大切となります。
大武不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士 大武克己