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相続放棄と形見分け
亡くなった親の遺産、その相続を承認するか放棄するかは、とても重要な決断です。
相続を承認すれば、プラスの遺産も親の負債も全てを引き継ぐことになります。
他方、相続放棄をすれば、プラスの遺産も親の負債も自分のものにはなりません。
プラスの財産よりも借金が多い場合には、相続を放棄することで親の借金を背負わずに済むわけです。
負債への対策として効果の高い相続放棄ですが、以下の場合には、放棄ができなくなってしまいます。
①遺産の一部、又は全部を処分したとき
②自分が相続人となったことを知った時から3ヶ月が経過したとき
上記のうち、②は意味が明瞭で分かりやすいのですが、①の方は、実際に相続放棄を行う際に「これって『処分』したことになるの?」と疑問となることがたくさんあります。
形見分けもその一つです。
「相続は放棄したいけど、親のお気に入りだったハンカチは形見分けとして残したい」という場合、ハンカチを貰ってしまうと、遺産を「処分」したことになって、相続放棄かできなくなってしまうのでしょうか?
この場合の答えは、ハンカチを貰った後でも相続放棄はできる、です。
過去の裁判例は、形見分けとした財産に「一般的経済価格」がある場合には、上記①の「処分」をしたもの( =相続を承認した)と判断しています。
他方、遺産そのものの価値が大きい場合には、ある程度の価格がつく物や、複数の品を形見分けしても「処分」にあたらない、と判断された事例もあります。
ハンカチやペン一つ、ということであれば相続放棄に支障は有りませんが、いくつもの物を貰おうとすると、相続放棄ができなくなるかもしれません。
判断に迷われるようでしたら、専門家の助言をお求めになることをお勧めします。
相続に関するお困りごとは、旭経営アシストヘご相談ください。
こたけひまわリ法律事務所
弁護士 小坂塁