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所在不明の共有者の持分を取得する裁判~体験記~
1 共有持分を取得できました!
昨年のアシスト通信8月号で、「所在等不明な共有者(不明共有者)の持分を取得する裁判手続き」についてご紹介しました。
実は、同じころ、まさにこの手続きを取りたいとの相談を受けて受任し、先日、無事にご依頼者様が共有持分を取得することができました。
今回は、手続きのご説明も兼ねて、体験談をお伝えしたいと思います。
2 「下準備」が必要!
(1)前提として「所在等不明」な共有者の持分を取得する手続きなので、対象となる共有者が本当に「所在等不明」なのか調査(探索)し、その結果を「報告書」にまとめなければなりません(申立書に添付します。)。
(2) また、供託すべき共有持分の時価額の算定のため、簡易査定書や固定資産税評価証明書が必要です。
(3) さらに、「申立てを理由づける事実(共有持分を取得したい事情など)」の確認のため、共有地の利用状況が分かる資料(現地の写真など)の添付を求められることがあります。
3 他の共有者の意向確認が行われます!
申立てがあると、「公告」とともに、裁判所から他の共有者へ「通知」されます(「異議」の機会を確保するため。)。
そこで、可能であれば申立前に、他の共有者に連絡・相談しておいた方が無難です。
4 ご依頼から持分取得までに要する期間
先にご説明した「下準備」に要する期間のほか、3か月の「公告」期間や裁判後の不服申立て期間(2週間)などを考えると、ご依頼から持分取得までには、凡そ半年程度かかると見込まれた方が良いでしょう。
5 おまけ:実務的な注意点
持分取得の裁判の前段階で、裁判所から「供託金を供託して、その旨裁判所へ届け出るように」と命じられます。
ところが、この連絡は必ずしも書面で行われる訳ではなく、口頭で伝えられることもあります。
また、「供託→届出」までの期間について、法律上は「一定の期間内」とされているだけなので、裁判所が任意に定めます(今回は2週間でした。)。
そのため、事前に供託書の記載方法などを確認しておかないと、期限内での処理が難しくなるかもしれないので、注意が必要です。
(了)
こたけひまわリ法律事務所
弁護士 小山明輝