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「ハラスメント」の基本的な理解(改)

1 再登場。
3年前(2022年9月号)で「『ハラスメント』の碁本的な理解」というテーマで掲載しましたが、最近、顧問先などでハラスメント関係の相談やご依頼を受ける機会が増えたような気がします。
そこで、改めてハラスメントの碁本的な理解についてお伝えしたいと考えました。
もっとも、歴史的経緯や法律関係は省略いたします。
2 ハラスメント対応の碁本
(1)ハラスメントは人権侵害
ハラスメント研修の講師を務めたりすると、時折、「どのような言動がハラスメントに当たるのか分かりづらい。」「ハラスメントを心配すると、何を(どのような話題について)話をすれば良いのか分からなくなる。」と言った声を聴くことがあります。
この点、パワハラやセクハラなどハラスメントに該当する言動の具体例はありますが、「網羅」することは、現実的ではありません。
大切なのは、「ハラスメントは、人権侵害である(他者の人権を侵害するおそれがある) 。」という基本的な理解です。
逆にいえば、職場において、「他者の人権・人格を将重する」という理解が浸透すれば、自然とハラスメント問題が減少していくのではないかと思いますし、仮に発生しても問題が拡大・長期化することはないだろうと考えます。
(2)ハラスメントは経営リスクの一つ
セクハラやパワハラなどが発生し、・事件化(損害賠償事件等)してしまうと、解決までにかかる時間、労力、費用は膨大なものとなりかねません。
また、職場環境(内部的影響)や企業イメージ(対外的影響)の悪化も懸念されます。
後者については、最近の某テレビ局の問題をみても明らかです。
したがって、特に事業者(経営者)においては、「ハラスメント対策は、経営上のリスク管理の問題でもある。」という意識を持つことが肝要です。
(3)ハラスメントは予防が大切
法的はもちろん、実際にも、発生したハラスメント事件の解決には時間も労力も費用もかかります。
したがって、ハラスメント対策には、何より予防的対策が必要不可欠と言えます。
具体的には、①事業者(経営者)が組織内外に、「ハラスメントを許さない」との強く明確なメッセージを打ち出す、②就業規則等の規定やハラスメント相談窓口や対応員会の設置など組織体制の整備を行う、③社内研修の定期的・継続的な実施等により、組織内のハラスメントに対する理解の浸透・深化に努める、など多面的かつ取組を実践することが必要です。
3 まとめ
ハラスメント予防への取組や生じたハラスメント問題の解決には、弁護士など専門家への相談・依頼が必要な湯合が多々あります。
特に後者については、紛争の拡大化防止と早期解決のため、できるだけ早めにご相談されることをお勧めします。
(了)
こたけひまわリ法律事務所
弁護士 小山明輝