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感情の裏にあるニーズを読み取る~紛争解決の手法~

2025年06月10日

1「憤り」という感情:紛争の火種であり燃料でもある
家族間の法的問題(離婚や相続など)、あるいは日常生活上に生じる法的問題(交通事故など)が「紛争」に発展する場合、その背景には必ず、互いの相手方に対する負の感情、特に「慎り(怒り) 」があると言っても過言ではありません(いや、言い過ぎかも…?)。
これら紛争は、法的・経済的観点からみると、単純だったり些細(少額)だったりすることも珍しくありません。
ところが、一旦生じた「憤り」は、当事者間の話し合いで鎮静化することなく、むしろ言葉を交わすにつれ大きくなるため、弁護士や裁判所が介入せざるを得ない「法的紛争」に至り、解決までの道のりが遠く、かつ難航することになるのです。

2 紛争解決の手法:感情の「裏」を探る
このような場合、相談者に対し、「感情的になってはいけない」、「冷静に」などと助言することはおよそ意味を持ちません。
紛争を抱えた多くの方々が、「感情では問題が解決しない」と分かりつつ、「感情を切り離すことなどできない」と「思い込んでいる」からです。
紛争解決の糸口をつかむためには、いきなり「感情の切り離し」を求めるのではなく、まずは感情に寄り添いつつ、その「裏」にある要因を探る必要があります。
相手方に対する「憤り」の要因の多くは、相談者が相手方に何らかの言動・対応を期待したものの、それが叶えられなかった(時には「真逆」のことをされた)ことにあります。
相手方へのニーズを把握した上で、それ(相手方に期待する言動・対応)が妥当なものであれば、そのニーズを明確に伝え、それが叶わない(できない)理由ないし事情を確認します。
逆にそのニーズが法的、あるいは道義的な理由で不合理ないし不相応のものであれば、そのことを相談者に理解してもらう必要があります。
このような過程を経て、相談者が「憤り」の背最にある相手方への「ニーズ」とその妥当性を自覚したとき、紛争解決の可能性やその行程が明らかになります。

3 弁護士はカウンセラーでもある・・・?
このようにしてみると、弁護士として法的紛争を解決するためには、単なる法律家ではなく、カウンセリング的な手法も必須ではないかと考えます。
…と、このような姿勢で日々の業務に取り組んでおりますので、家族間や日常生活上のトラブルでお悩みの際は、ぜひ一度、ご相談くださいませ。
(了)

こたけひまわリ法律事務所
弁護士 小山明輝

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